タイムカードの計算は、「実働時間を出す」「残業・深夜・休日に区分する」という2段階で考えると整理できます。この記事では、基本の計算式、間違いのもとになる60進法と10進法の変換、丸め処理の注意点、そしてエクセルや自動計算に置き換える方法までを順番に解説します。

よくある困りごと

タイムカードを手で計算していて、金額や時間が合わなくなるのは次の場面です。

場面何が起きるかなぜ起きるか
7時間45分を「7.45」として時給を掛けた時給1,200円なら1日360円少なく払う時刻の60進法のまま小数として扱った(60進法と10進法の変換)
夜勤の退勤時刻から出勤時刻をそのまま引いた実働がマイナスになる日付をまたぐ時間を同じ日の時刻どうしで引いた(日をまたぐ場合の計算)
毎日8時間以内なので残業は無いとした週6日出勤した週の時間外労働を払い漏らす1日8時間だけを見て、週40時間の判定をしていない(所定と法定の違い)
休憩を引き忘れた、または二重に引いた実働が長すぎる、または短すぎる休憩を出退勤に含めて書くカードと別欄に書くカードが混ざっている(よくある計算間違い)
エクセルで日々の時刻を15分単位に丸める式を入れた丸めて削れた分の賃金が支払われない端数処理が認められているのは1か月の合計だけ(丸め処理の注意点)

自分で確認・修正できること

手計算でもエクセルでも、次の順に進めると計算の誤りを見つけやすくなります。

  1. 1日ずつ実働を分で出す。退勤−出勤−休憩で、日をまたぐ日は24時で区切って足します(基本の計算式)。1日分を確かめるだけなら60進法と10進法の変換早見表にある電卓に出勤・退勤・休憩を入れると、実働が分と小数で出ます。
  2. 時間外を1日と1週の両方で数える。1日8時間を超えた分に加え、週の合計が40時間を超えた分も法定時間外労働です(所定と法定の違い)。超えやすい週の例は法定労働時間とは?にあります。
  3. 深夜と休日を別の箱に分ける。午後10時から午前5時までの時間と、法定休日の時間を別に合計します(深夜・休日の区分)。日をまたぐ勤務の深夜の切り出し方は夜勤の深夜割増の範囲で確かめます。
  4. 月の合計を出してから、最後に1回だけ10進法に直す。日ごとに小数へ丸めると誤差が積み上がります(小数に直すのは足す前か後か)。
  5. 端数処理は月の合計だけにする。日々の時刻を丸める式を使っていたら外します(丸め処理の注意点・例外として認められる端数処理)。

休憩の長さが足りているかは休憩時間は何分必要か、フレックスタイム制の時間外の数え方はフレックスタイム制の残業代、出張の移動時間を数えるかは出張・研修は労働時間かで確かめます。

基本の計算式。実働時間の求め方

1日の実働時間は次の式で求めます。

実働時間 = 退勤時刻 - 出勤時刻 - 休憩時間

9:00出勤、18:15退勤、休憩1時間なら、18:15 - 9:00 - 1:00 = 8時間15分です。休憩は労働基準法第34条で、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上を与えることが義務付けられています。実際に取った休憩を引くのが原則です。

夜勤で日をまたぐ場合は、いったん24時までの時間と、24時から退勤までの時間に分けて足すと間違えません。22:00出勤、翌7:00退勤、休憩1時間なら、22:00から24:00までの2時間と、0:00から7:00までの7時間を足して9時間、そこから休憩1時間を引いて実働8時間です。

60進法と10進法の変換早見表

タイムカード計算で最も多い間違いが、「1時間30分」を「1.3」として計算してしまう混同です。時刻は60進法、給与計算で使う時間数は10進法なので、分を60で割って変換します。30分は 30÷60 = 0.5 時間です。

60進法(分) 10進法(時間)
15分 0.25時間
30分 0.50時間
45分 0.75時間
1時間30分 1.50時間
7時間45分 7.75時間

電卓で計算するときは、まず全て10進法に直してから足し引きし、最後に給与計算へ渡すのが安全です。時給1,200円で7時間45分働いた場合、1,200円 × 7.75 = 9,300円となります。「1,200 × 7.45」と計算すると8,940円になり、360円の未払いが発生します。

残業時間の考え方。所定と法定の違い

残業には2種類あります。会社が決めた所定労働時間(例: 7時間)を超えた分が「所定外残業」、労働基準法が定める1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた分が「法定時間外労働」です。25%以上の割増賃金が義務になるのは法定時間外労働の分で、所定7時間の会社で8時間働いた場合の1時間(法定内残業)は、割増のない通常単価で支払う扱いが可能です(就業規則の定めによります)。

1日単位だけでなく、週40時間を超えていないかの確認も必要です。1日8時間以内に収まっていても、週6日出勤すれば40時間を超える部分が法定時間外労働になります。この週またぎの判定は手計算で漏れやすいポイントです。

深夜・休日の区分

22時から翌5時までの労働は深夜労働として25%以上の割増、法定休日の労働は35%以上の割増が必要です。残業が22時を越えて続いた場合は、時間外25% + 深夜25% = 50%以上になります。区分ごとの割増率と計算手順は割増賃金の計算方法4ステップで、法定休日と所定休日の見分け方は法定休日と所定休日の違いで詳しく解説しています。

タイムカードの計算では、1日の実働時間を「通常」「時間外」「深夜」「休日」の箱に振り分けていく作業になります。この振り分けルールは就業規則で決まるため、計算を始める前に自社のルールを確認してください。

丸め処理の注意点。1分単位が原則

労働時間の把握は1分単位が原則です。日々のタイムカードの時刻を15分や30分単位で一律に切り捨てる運用は、切り捨てた分が未払い賃金になるリスクがあります。例外的に認められているのは、1か月の合計時間に生じた30分未満の端数を切り捨て、30分以上を切り上げる処理などに限られます。

「うちは昔から15分単位」という運用を続けている場合は、タイムカードの丸め・切り捨ては違法?を確認したうえで、1分単位の集計に移行することをおすすめします。

エクセル・自動計算に置き換える

ここまでの計算は、エクセルの関数でそのまま自動化できます。実働時間は「=退勤-出勤-休憩」、残業は「=MAX(0, 実働-"8:00")」、月合計はSUM関数です。集計表の作り方は、列構成から関数までタイムカード集計表をエクセルで作る方法で手順どおりに再現できます。

ただしエクセル化しても、タイムカードの時刻をセルに写す転記作業と、写し間違いの確認は残ります。さらに進めて転記ごと自動化するのが、タイムカードを撮影してOCRで読み取る方式です。読み取りから残業・深夜の区分、月合計までが自動になり、計算間違いの余地がなくなります。

よくある計算間違い

60進法のまま掛け算する。7時間45分を7.45として時給を掛けると未払いが出ます。10進法への変換を必ず挟んでください。

週40時間の超過を見落とす。1日単位では残業ゼロでも、週6日出勤で法定時間外労働が発生します。週の合計欄を設けて確認します。

休憩の引き忘れ・二重引き。休憩を出退勤時刻に含めて書くカードと、別欄に書くカードが混在すると起きやすい間違いです。記入ルールを統一してください。

日またぎのマイナス計算。夜勤の退勤時刻をそのまま引き算するとマイナスになります。24時で区切って足すか、エクセルなら日またぎ対応の式を使います。

パシャ勤怠でできること

パシャ勤怠は、紙のタイムカードをスマートフォンで撮影し、AI-OCR で勤怠データに変換するクラウド勤怠管理サービスです。

読み取った打刻から、時間外・深夜・法定休日・所定休日の区分ごとの時間を集計して出力します。

使いはじめる前に、初回は会社情報・従業員・就業規則の3つを準備します。締め日や所定労働時間は最初に一度確かめます。

読み取ったあとは、目印の付いた行から先に確かめ、続けて元の画像と見比べていけば、紙から打ち直す手間をかけずに確認を終えられます。集計結果は Excel・CSV でダウンロードできます。

よくある質問

電卓だけでタイムカードを計算するコツはありますか?

時刻を全て10進法に直してから計算するのがコツです。出勤9:15なら9.25、退勤18:45なら18.75と変換し、18.75 - 9.25 - 1(休憩)= 8.5時間のように計算します。分の変換は「分÷60」です。人数が10名を超えると変換と転記のミスが増えるため、エクセルの集計表か自動データ化への移行を検討する段階といえます。

残業時間の集計は15分単位の切り捨てでよいですか?

日々の残業を15分単位で切り捨てる運用は、切り捨てた分が未払い賃金となるリスクがあります。労働時間の把握は1分単位が原則です。認められているのは、1か月の合計に生じた30分未満の端数の切り捨て(30分以上は切り上げ)といった月単位の端数処理などに限られます。詳しくは丸め処理の解説記事をご覧ください。

この記事のまとめ
  • 実働時間は「退勤 - 出勤 - 休憩」。夜勤は24時で区切って足すと間違えない
  • 時刻は60進法、給与計算は10進法。「1時間30分=1.5」の変換を必ず挟む
  • 割増が義務になるのは1日8時間・週40時間を超えた法定時間外労働の分
  • 日々の丸めは1分単位が原則。15分切り捨て運用には未払いリスクがある

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