タイムカードの集計表は、エクセルの基本機能だけで自作できます。この記事では、列の構成、時刻の表示形式、実働時間と残業を求める関数、月合計の出し方までを、そのまま再現できる形で解説します。あわせて、自作した表を毎月まわすときに必ず残る「転記」という工程についても触れます。
集計表の完成形と列の構成
まず、1人1シートで1か月分を管理する形が最も分かりやすい構成です。列は次の7つがあれば、実働時間の集計から給与計算の下準備まで足ります。
| 列 | 項目 | 入力する内容 |
|---|---|---|
| A | 日付 | 2026/7/1 のように日付形式で入力 |
| B | 曜日 | 関数で自動表示(=TEXT(A2,"aaa")) |
| C | 出勤時刻 | 9:00 のようにコロン区切りで入力 |
| D | 退勤時刻 | 18:15 のようにコロン区切りで入力 |
| E | 休憩時間 | 1:00 のように時間で入力 |
| F | 実働時間 | 関数で自動計算(後述) |
| G | 残業時間 | 関数で自動計算(後述) |
曜日はB2セルに「=TEXT(A2,"aaa")」と入力すれば「水」のように自動表示され、日付を変えるだけで翌月も使い回せます。
準備。時刻の表示形式を設定する
集計表づくりで最初につまずくのが表示形式です。エクセルは時刻を「1日=1」という数値(シリアル値)で管理しているため、設定を誤ると合計が正しく表示されません。
ポイントは2つです。まず、出勤・退勤・休憩の列は「9:00」のように必ずコロン区切りで入力します。「900」や「9.00」と入力すると時刻として認識されず、計算できません。次に、実働時間や月合計を表示するセルの表示形式を「[h]:mm」に設定します。セルの書式設定からユーザー定義を選び、「[h]:mm」と入力してください。角かっこ付きの[h]にすると、24時間を超える合計も「171:30」のように正しく表示されます。角かっこがない「h:mm」のままだと、月合計171時間30分が「3:30」と表示されてしまいます。
実働時間を求める関数
実働時間は「退勤時刻から出勤時刻を引き、休憩時間を引く」だけです。F2セルに次のように入力します。
=D2-C2-E2
9:00出勤、18:15退勤、休憩1:00なら、F2には「8:15」と表示されます。あとはF2をその月の末日までコピーすれば、日ごとの実働時間が自動で計算されます。
夜勤があり退勤が日をまたぐ場合は、そのままだと退勤時刻のほうが小さくなり、エラー(######表示)になります。日またぎに対応するには、F2を次の式に置き換えます。
=IF(D2<C2, D2+1-C2-E2, D2-C2-E2)
退勤時刻が出勤時刻より小さいときは翌日扱い(+1日)で計算する、という意味です。22:00出勤、翌7:00退勤、休憩1:00なら「8:00」と計算されます。
残業時間と月合計の計算
1日8時間を超えた分を残業として集計する場合、G2セルに次のように入力します。
=MAX(0, F2-"8:00")
実働8:15なら残業は「0:15」、実働が8時間以内の日は「0:00」になります。8時間ちょうどを超えない日にマイナスが出ないよう、MAX関数で0との大きいほうを取るのがコツです。
月合計は、実働・残業それぞれの列の末尾にSUM関数を入れるだけです。
=SUM(F2:F32)
このセルの表示形式も「[h]:mm」にしておきます。なお、時給計算などで「171:30」を数値の「171.5時間」に変換したいときは、「=合計セル*24」と24を掛けて、表示形式を標準に戻します。エクセルの時刻は1日=1のシリアル値なので、24を掛けると時間単位の数値になります。
毎月の運用のコツ
集計表は一度作れば、翌月はシートをコピーして日付と時刻を入れ替えるだけで使い回せます。運用を安定させるコツは3つです。
第一に、従業員ごとにシートを分け、ブックは月ごとに1つにします。1シートに全員を詰め込むと、行の挿入や削除で関数の参照が崩れやすくなります。第二に、関数が入ったセルには保護をかけ、入力するのは時刻の列だけにします。第三に、締めが終わったブックは「2026年7月_確定」のように名前を付けて保存し、後から書き換えないルールにします。タイムカードなどの労働時間の記録には保存義務があるため、保存期間のルールもあわせて確認してください。
つまずきやすいポイント
######と表示される。列幅が足りないか、時刻の計算結果がマイナスになっています。日またぎ勤務はsec3の式で対応してください。
合計が合わない。「1時間30分」を「1.3」と入力してしまう、60進法と10進法の混同が典型です。時刻は必ず「1:30」の形式で入力し、数値に直すときは24を掛ける方法に統一します。詳しい計算の考え方はタイムカードの計算方法で解説しています。
15分単位で丸めてよいか迷う。労働時間は1分単位の把握が原則で、日々の時刻を一律に切り捨てる運用には未払いリスクがあります。丸めのルールはタイムカードの丸め・切り捨ては違法?を確認してください。
集計表を作っても残る工程。時刻の転記
ここまでの手順で計算は自動化できます。ただし、タイムカードに打刻・記入された時刻をエクセルに写す「転記」は手作業のまま残ります。30名分になると、転記と突き合わせ確認だけで月4~8時間かかるのが一般的です。
この転記そのものをなくす方法が、タイムカードをスマホで撮影してOCRで自動データ化する方式です。読み取った時刻から実働・残業・深夜の集計までが自動で終わり、エクセルにはき出して給与計算に使えます。集計表づくりの次の一手として、エクセル集計の自動化と限界もあわせてお読みください。
よくある質問
無料テンプレートを探すのと自作、どちらがよいですか?
定時勤務が中心なら、この記事の構成で自作するほうが、中身を理解できるぶん後から直せて安全です。無料テンプレートは手早い反面、関数がブラックボックスになりがちで、自社の休憩ルールや夜勤に合わないときに改修できないことがあります。いずれの場合も、時刻をエクセルへ転記する工数は残る点は同じです。
休憩時間が日によって違う場合はどうすればよいですか?
休憩を固定値にせず、E列に日ごとの実績を入力する運用にしてください。実働時間の式(=D2-C2-E2)は変わりません。中抜けが複数回ある働き方の場合は、休憩列を2つに分けて式を「=D2-C2-E2-F2」のように拡張する方法もありますが、列が増えるほど入力ミスも増えるため、件数が多いならOCRデータ化などの自動化を検討する段階です。
- 集計表は「日付・曜日・出勤・退勤・休憩・実働・残業」の7列で足りる
- 時刻はコロン区切りで入力し、合計セルの表示形式は「[h]:mm」にする
- 実働は =D2-C2-E2、残業は =MAX(0, F2-"8:00")、月合計はSUMで自動計算できる
- 計算は自動化できても、タイムカードからの時刻の転記は手作業のまま残る
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