エクセルのテンプレートで実働時間や残業を自動計算すれば、手計算より工数は削減できます。ただし最も時間がかかる「時刻の転記」という工程は残ったままです。この記事では、エクセル集計で自動化できることと限界、そして陥りやすい計算ミスと属人化のリスクを解説します。

エクセルで自動化できること

SUMIF や IF、その他の関数を使ったテンプレートで自動化できるのは、あくまで「計算」の部分です。タイムカードに書かれた時刻から実働時間、残業時間、深夜割増、それに基づく給与額まで、数式で計算することができます。このため手計算の場合と比べて、手作業での計算ミスは大幅に減らせます。

テンプレート自体の管理も効率化できます。翌月以降は前月のテンプレートをコピーして時刻だけ上書きすれば、計算式を毎回組み直す手間がかかりません。

それでも残る工程。時刻の転記

エクセルで計算を自動化しても、肝心の「時刻をタイムカードからエクセルに転記する」という工程は残ります。30名分のタイムカードを見ながら、一つずつセルに数字を入力するのは、計算そのものと同じか、それ以上に時間がかかります。一般に30名規模で月4~8時間かかるとされています。

さらに転記ミスの確認も必要です。時刻を一つ間違えると、その従業員の給与が大きく変わる可能性があるため、元のカードとの突き合わせ確認が欠かせません。この確認作業が追加の工数として見積もられることが多いです。

よくある計算ミスと原因

60進法と10進法の混同は典型的なミスです。例えば1時間30分を「1.5」と計算するのは正確ですが、「1.3」と入力してしまう例が数多くあります。エクセルの計算式で自動化していても、手入力の時刻データが間違っていれば結果も誤ります。

日をまたぐ勤務の計算

丸め処理の方向

属人化のリスク

エクセルテンプレートは一度作ると、その作成者に大きく依存します。何か特殊な計算が必要になったり、ルールが変わったりした場合、作成者以外は対応できないことが多いです。

作成者が異動したり退職したりすると、テンプレートを直せる人がいなくなってしまいます。その後は間違いに気づいても直すことができず、何年も放置される例も珍しくありません。会社の知的資産がその個人に縛られてしまう状態は、経営面でもリスクです。

次の一手。転記そのものをなくす

エクセルのテンプレートでは転記が必須ですが、この工程そのものをなくす方法があります。タイムカードをスマホで写真に撮り、OCRで自動データ化する方法です。読み取り結果を確認するだけで、計算も転記も不要になります。

30名規模であれば、撮影と確認に30分前後で完了します。月4~8時間を30分に圧縮でき、属人化の心配もなくなります。さらに従業員は打刻運用を変えずに済むため、教育コストもかかりません。

よくある質問

無料のエクセルテンプレートで十分ですか?

簡単な計算なら無料テンプレートでも足りる場合があります。ただし夜勤や変則シフト、複雑な割増賃金ルールに対応したテンプレートは、かなり複雑な関数が必要になり、自社で改修するのは困難です。テンプレートの購入やカスタマイズの費用と、毎月の時刻転記の人件費を合わせて考えると、OCRデータ化のほうがトータルコストで低くなるケースも多いです。

深夜割増の区分もエクセルでできますか?

できます。ただし「深夜の開始時刻が22時以降」「朝の終了時刻が5時まで」といったルールを全て関数で記述する必要があり、テンプレートはかなり複雑になります。それでも時刻の転記は手作業のため、転記ミスで計算が狂う可能性は残ります。確実さを求めるなら、OCS読み取りで自動データ化し、複雑な計算は給与計算システムに任せるほうが安全です。

この記事のまとめ
  • エクセルで自動化できるのは「計算」の部分。最大の工数は「時刻の転記」
  • 30名規模で月4~8時間の転記作業が必須。これだけ見ても費用に見合わない場合がある
  • 60進法と10進法の混同、日またぎ計算、丸め処理など計算ミスの落とし穴が多い
  • テンプレートは作成者に依存し、異動や変更時に対応できなくなるリスクがある

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