2019年4月から、事業者が従業員の労働時間を把握することは「客観的な方法」によることが法律で義務づけられました。自己申告だけでは足りません。また、労働関係の記録は一定期間保存する必要があります。この記事では、この義務の内容と記録の保存期間について解説します。
客観的把握義務とは何か
労働安全衛生法66条の8の3により、事業者は従業員の労働時間の状況を「客観的な方法」で把握することが義務化されています。この法律は2019年4月1日に施行されました。
客観的な方法とは、タイムカード、パソコンの使用時間の記録、その他の労働時間を記録する装置によることです。従業員の自己申告のみによる把握は、やむを得ない場合の例外的な方法とされています。
この義務の対象には、一般的な従業員だけでなく、管理監督者や裁量労働制の対象者も含まれます。給与として支払われるかどうかは関係なく、全員の労働時間を客観的に把握する必要があります。
タイムカードは客観的な記録になるのか
タイムカードは、電子式であれ手書きであれ、客観的な記録として認められます。重要なのは「記録が残ること」です。
手書きタイムカードの場合、打刻の有無や時刻が記録されていれば法律要件を満たします。あわせて、その画像やスキャンデータを保管しておくことで、後から確認が必要になった際にも対応できます。紙のままの保管でも要件は満たしていますが、検索性や劣化の防止の観点から、スキャンして電子データとして保存することをお勧めします。
記録の保存期間は5年(当分の間3年)
労働基準法109条により、賃金台帳、出勤簿、その他労働関係の重要な書類の保存義務があります。保存期間は原則として5年です。ただし、経過措置により当分の間は3年となっています。
保存の起算日は、書類の種類によって異なります。賃金支払日、出勤簿の記録完結日など、書類ごとに定められているため、法令に従って正確に管理することが大切です。
| 書類の種類 | 保存期間 | 起算点(例) |
|---|---|---|
| 賃金台帳 | 5年(当分3年) | 賃金支払日 |
| 出勤簿・タイムカード | 5年(当分3年) | 記録完結の日 |
| 労働条件通知書 | 5年(当分3年) | 交付日 |
紙のまま保管する場合の課題
タイムカードは紙のままでも保存要件は満たします。しかし実務的には課題があります。
月ごとにファイルボックスに詰めた場合、「3年前の6月のカード」を後から探すのに相当な時間がかかります。給与計算の誤りに気づいて遡って確認する際や、労働基準監督署の調査対応の際に、すぐに該当するカードを出せない状態は避けたいところです。
スマートフォンで撮影して画像ファイルとして保管すれば、「2023年6月」と検索一つで該当データが見つかります。電子データであれば、劣化や紛失のリスクも低くなります。保存媒体としても、クラウドストレージは火災などのリスク回避になります。
まとめ
- 2019年4月から、労働時間の客観的把握が義務化された
- タイムカードは客観的な記録として認められる
- 記録の保存期間は原則5年(当分の間3年)
- 画像またはデータでの保管があると、検索性と安全性が向上する
パシャ勤怠は、タイムカードの画像を自動的に日付ごとに整理し、必要なときにすぐに参照できる設計になっています。法定保存期間の管理についても、データ保管の方針をお決めいただく際にお手伝いします。お問い合わせください。
本記事は一般的な制度の概要です。個別の運用は所轄の労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。