総務の森の「相談の広場(労務管理)」に2020年1月から2026年6月までに投稿された6,082件を分類したところ、休憩の付与・分割は276件(4.5%)で、勤怠に関する24論点のうち最も多く相談されていました。一方で1件あたりの返信数は4.23件で、25件以上ある22論点の件数加重平均4.38件を下回ります。迷う人は多いものの、条文に当たれば答えが決まる論点です。

この記事では、労働基準法第34条が定める休憩の分数と与え方を、勤務例の表で整理します。6時間ちょうど・8時間ちょうどの境界、残業で8時間を超えたときに足す分、15分×3回のような分割、一斉付与を外すための労使協定、昼休みの電話番の扱いまで、担当者が実際に手を止める場所を結論から示します。1日8時間・週40時間という枠そのものの考え方は法定労働時間とは?8時間・週40時間の境界線にまとめています。

休憩は何分必要か。6時間超と8時間超の境界

休憩の分数は労働基準法第34条第1項で決まっています。条文は「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定めています。ここでいう労働時間は、休憩を除いた実労働時間です。

拘束時間で判断すると必ずずれます。労働基準法第32条第2項も「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない」と、休憩を除いた時間で書かれています。始業から終業までの時間ではなく、そこから休憩を引いた時間で判定してください。

1日の実労働時間(休憩を除く)与える休憩根拠
6時間ちょうどまで第34条第1項に基づく分数の定めなし条文は「六時間を超える場合」
6時間を超え、8時間ちょうどまで少なくとも45分労働基準法第34条第1項
8時間を超える少なくとも1時間労働基準法第34条第1項

境界に「ちょうど」は含まれません。6時間ちょうどは45分の対象外で、6時間1分から45分が必要です。8時間ちょうどは45分で足り、8時間1分から1時間が必要になります。

勤務例で確かめる

始業と終業与えた休憩実労働時間判定
9:00〜15:00なし6時間00分休憩なしで足りる
9:00〜15:30なし6時間30分45分不足
9:00〜17:4545分8時間00分45分で足りる
9:00〜18:0045分8時間15分15分不足(1時間の区分)
9:00〜18:0060分8時間00分足りる

4行目が最も多い取り違えです。9時から18時までの勤務で休憩を45分にすると実労働は8時間15分になり、1時間の休憩が必要な区分に入ります。同じ9時から18時でも、休憩を60分にすれば実労働はちょうど8時間に収まります。

いつ与えるか。「労働時間の途中に」の意味

第34条第1項は、休憩を「労働時間の途中に」与えると定めています。分数を満たしていても、置く場所が途中でなければこの条文を満たしません。

始業直後と終業直前が認められない理由

始業前に45分を与える運用や、終業前の45分を休憩にして早く帰す運用は、条文の「途中に」に当たりません。実態としては始業時刻を45分遅らせる、終業時刻を45分早めるのと同じで、働いている途中に労働から離れる時間が生まれていないためです。

とくに多いのが「休憩は各自で終業前に取って早上がりにする」という運用です。従業員に不利益がないように見えますが、第34条第1項の休憩を与えたことにはなりません。昼の時間帯など、業務の切れ目に移してください。

どこに置くと管理しやすいか

条文は時刻も配置も指定していません。実務上は、連続して働く時間が4時間を超えないように置くと、労働から離れる時間として意味を持ちます。9:00始業・18:00終業なら12:00〜13:00、7:00始業・16:00終業なら11:00〜12:00といった置き方です。

交替制やシフト制で全員を同じ時刻に休ませられない職場では、シフト表に休憩の開始時刻と終了時刻まで書き込んでおくと、当日の判断に頼らずに済みます。書き込む時刻は、繁忙の山を避けた業務の切れ目に固定するのが実務的です。

分割はできるか。一斉に与える原則と労使協定

分割して与えることはできる

第34条第1項が定めているのは、合計の分数と「労働時間の途中に」与えることの2点です。一度にまとめて与えることは求めていません。45分を15分×3回、1時間を30分×2回のように分けても、合計が条文の分数に達していれば第34条第1項を満たします。

ただし第34条第3項は「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めています。細かく刻みすぎると、席を離れて休む時間としての実態が失われます。実務上は最低単位を15分と決め、回数を3回までに抑えると、記録も給与計算も追いやすくなります。

分割の設計を決めたら、就業規則の労働時間の章に、休憩の分数・時間帯・分割する場合の単位を書き込んでおきます。就業規則の作成義務が生じる人数の考え方は就業規則はいつから義務?従業員10人の壁にまとめています。

一斉に与える原則と、外すための労使協定

第34条第2項は「前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない」と定めています。

休憩を交替で取らせたい場合に必要になるのは、この書面による労使協定です。過半数組合があるならその組合と、なければ従業員の過半数を代表する者と結びます。

  • 代表者は挙手や投票で選び、選出の記録を残します。会社が一方的に指名した人と結んだ協定は、協定そのものの効力が争われます
  • 協定には、一斉に休憩を与えない従業員の範囲と、その従業員にどう休憩を与えるかを書いておくと、労働基準監督署の調査で説明できます
  • 条文が「当該事業場に」と書いているとおり、協定は事業場単位です。拠点が3つあるなら3つの拠点それぞれで結び、その拠点に備え置きます

一斉付与の原則は、事業の種類によって適用のされ方が変わります。自社がどの事業に当たるかは業種の分類で決まるため、飲食・小売・運輸・介護のように分類の判断が分かれやすい業種では、社労士事務所に自社の分類を確認してから協定の要否を決めると確実です。

休憩でよくある失敗と対策

休憩の間違いは、覚え違いよりも「シフトの設計時に境界を織り込んでいない」ことから生まれます。起きる理由まで押さえると、同じ月に何度も直す作業がなくなります。

よくあるミスなぜ起きるか対策
8時間ちょうどのシフトに休憩45分を設定している「8時間までは45分」と覚えていて、1分の残業で1時間の区分に移ることを織り込んでいない残業が月に数回でもある職場は、シフトの休憩を最初から60分にする。残業のたびに休憩を足し直す作業がなくなる
休憩を終業前にまとめて取らせ、早上がりにしている「早く帰れるなら本人も得」という善意で運用が定着している第34条第1項は「途中に」と定めている。昼の時間帯など業務の切れ目に移し、シフト表の時刻を書き換える
昼休みに電話番や来客対応をさせている「座っているだけ」を休憩とみなしている第34条第3項の自由利用が保たれていない。留守番電話に切り替えるか、当番者には別の時間帯に休憩を与える
タイムカードに休憩の打刻がなく、給与計算で毎回45分を一律控除している実際に取れた日と取れなかった日の区別がつかない休憩の開始時刻と終了時刻を記録する。少なくとも「取れなかった日」を申告できる欄をカードに設ける
6時間ちょうどのパートが15分延長したのに休憩を入れていない「パートは勤務が短いから休憩は不要」という思い込み第34条第1項は雇用形態を区別していない。6時間を超えたら45分。シフト作成のルールに書き込む
分割した休憩の合計が45分に届かない(20分+20分=40分)分割の合計を検算していない15分×3回のように割り切れる単位に統一するか、シフト表で合計を自動計算する

6行のうち4行は、シフト表の時刻を1度直せば翌月以降は再発しません。毎月の給与計算で個別に直している項目があるなら、直す先はシフト表側です。

担当者が手を止める6つの迷いどころ

労働時間がちょうど6時間のとき

結論: 休憩なしで第34条第1項を満たします。条文は「六時間を超える場合」と書かれているため、6時間ちょうどは分数の対象外です。9:00〜15:00の勤務に休憩がなくても、第34条第1項に反する状態にはなりません。

気をつけるのは境界の近さです。6時間ちょうどのシフトで15分の残業が発生すると、実労働は6時間15分になり45分の休憩が必要な区分に移ります。15分働いてもらうために45分の休憩を足すことになるので、6時間を少し超える日が続く職場では、はじめから休憩45分を組み込んだシフトに変えるほうが計算が安定します。

労働時間がちょうど8時間のとき

結論: 45分で第34条第1項を満たします。条文は「八時間を超える場合」に1時間としているため、8時間ちょうどは45分の区分です。9:00〜17:45で休憩45分なら実労働はちょうど8時間で、この時点では足りています。

ただし17:46まで働いた瞬間に1時間の区分へ移り、休憩が15分不足した状態になります。残業が発生しうる職場では、シフトの休憩を最初から60分にしておくのが実務的です。

残業して8時間を超えたら休憩を足すか

結論: 足します。しかも残業に入る前に与えます。第34条第1項は8時間を超える場合に少なくとも1時間としているため、45分しか与えていなければ15分の追加が必要です。同じ条文が「労働時間の途中に」と定めているので、退勤直前に15分を与えても途中になりません。

置き方の具体例です。所定が9:00〜17:45(休憩45分・実労働8時間)の職場で、その日に残業が見込まれたとします。17:45〜18:00の15分を休憩にして18:00から残業を始めれば、休憩は合計1時間になり、条文の「途中に」も満たします。この15分は休憩なので実労働時間には入りません。

電話番や来客対応をしている時間は休憩か

結論: 休憩ではありません。労働時間として記録します。第34条第3項は「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めています。電話が鳴れば出る、来客があれば立つという状態は、労働から離れることが保障されていないため、休憩の分数には数えません。

手当ては2つです。昼の時間帯を留守番電話や自動応答に切り替えるか、当番制にして当番者には別の時間帯に休憩を与えます。後者は休憩を一斉に与えないことになるので、第34条第2項の労使協定と合わせて設計します。

パート・短時間勤務者の扱い

結論: 正社員と同じルールです。第34条第1項は「労働時間が六時間を超える場合」とだけ定めており、雇用形態を区別していません。6時間ちょうどのシフトなら休憩なしで足りますが、10分延長して6時間10分になった時点で45分が必要になります。

10分働いてもらうために45分の休憩を入れることになるため、延長を頼む前にシフトの組み替えで対応できないかを先に確認するほうが早い日もあります。シフト作成の段階で「6時間を超える日は休憩45分」をルールとして書き込んでおくと、当日の判断が要らなくなります。

休憩を取らせなかった日はどうなるか

結論: その時間は休憩ではないため、労働時間として扱います。第32条第2項は「休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない」と定めています。取れなかった45分は休憩時間ではないので、8時間の枠の中に入ります。

9:00〜17:45の勤務で45分の休憩が取れなければ、実労働は8時間45分となり、45分が法定労働時間を超える時間になります。給与計算では、一律に控除していた45分を労働時間に戻して計算し直します。8時間を超えた分の割増の出し方は割増賃金の計算方法を4ステップで解説の手順どおりに進められます。

休憩の記録と控除をどう回すか

記録するのは分数ではなく開始時刻と終了時刻

休憩を巡る計算違いのほとんどは、休憩が「45分」という固定値で処理されていることから起きます。実際に取れた日と取れなかった日の区別がつかないまま一律に控除すると、境界を超えた日を後から見つけられません。

  • 休憩の開始時刻と終了時刻を記録します。分割している場合は、15分×3回を1回ずつ分けて記録します
  • 取れなかった日を申告できる欄をタイムカードに設けます。理由まで書ければ、翌月のシフト設計に使えます
  • 月次で2つの条件に当たる日を抽出します。実労働6時間超なのに休憩45分未満の日と、実労働8時間超なのに休憩60分未満の日です
  • 抽出された日は、勤怠の修正か、シフト表の休憩時刻の見直しのどちらかで手当てします

実労働時間そのものの計算式と、日をまたぐ夜勤の分け方はタイムカードの計算方法。実働時間・残業・深夜の求め方で手順を追えます。

仕組みで解決できることと、社労士に相談すること

ここまでの作業のうち、毎日同じ判定を繰り返すだけの部分は仕組みで片付きます。実労働時間の算出、6時間と8時間の境界を超えた日の抽出、休憩が不足した日の一覧化は、判断ではなく計算です。人が毎月やり直す必要はありません。

一方で、判断が要る部分は残ります。一斉付与の原則が自社の事業の種類でどう適用されるか、労使協定を結ぶか、分割の単位を業務の実態に合わせてどう設計するか、電話番や来客対応をどこまで手待ち時間と見るか。これらは自社の業務内容と就業規則を見たうえでの判断になるので、社労士事務所を探すから相談先を見つけて決めるのが確実です。

よくある質問

休憩は15分×3回のように分割してよいですか

労働基準法第34条第1項が定めているのは、合計の分数と「労働時間の途中に」与えることの2点で、一度にまとめて与えることは求めていません。45分を15分×3回に分けても、合計が45分に達していれば第34条第1項を満たします。ただし第34条第3項が自由利用を定めているため、席を離れて休める単位である必要があります。実務上は最低単位を15分、回数を3回までに決めておくと、記録と給与計算が追いやすくなります。

一斉に休憩を与えないためには何が必要ですか

労働基準法第34条第2項により、過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者との書面による協定が必要です。条文が「当該事業場に」と定めているとおり協定は事業場単位なので、拠点が3つあれば3つの拠点それぞれで結びます。代表者は挙手や投票で選び、選出の記録を残しておきます。会社が一方的に指名した人と結んだ協定は、協定そのものの効力が争われます。

昼休みに電話番をお願いした場合、休憩になりますか

労働基準法第34条第3項は「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めています。電話が鳴れば出る、来客があれば対応するという状態は労働から離れることが保障されていないため、休憩の分数には数えず、労働時間として記録します。昼の時間帯を留守番電話や自動応答に切り替えるか、当番制にしたうえで当番者には別の時間帯に休憩を与える運用にします。当番制にする場合は、第34条第2項の労使協定と合わせて設計します。

パート・アルバイトにも同じ休憩のルールが適用されますか

労働基準法第34条第1項は「労働時間が六時間を超える場合」とだけ定めており、雇用形態で区別していません。6時間ちょうどのシフトなら休憩なしで足りますが、10分延長して6時間10分になれば45分の休憩が必要になります。延長が起きやすい職場では、シフト作成の段階で「6時間を超える日は休憩45分」をルールとして書き込んでおくと、当日の調整が要らなくなります。

休憩時間は給与の計算に含めますか

労働基準法第32条第2項が労働時間を「休憩時間を除き」と定めているとおり、実際に取れた休憩は労働時間に含まれません。給与計算では実労働時間から控除するのが一般的な扱いです。ただし取れなかった休憩はそもそも休憩時間ではないため、その時間は労働時間として計算します。一律45分を控除する運用では、この区別がつかなくなります。

この記事のまとめ
  • 実労働6時間超で45分、8時間超で1時間(労働基準法第34条第1項)。6時間ちょうど・8時間ちょうどは、それぞれ下の区分のまま
  • 判定は拘束時間ではなく、休憩を除いた実労働時間で行う(第32条第2項が「休憩時間を除き一日について八時間」と定めている)
  • 休憩は「労働時間の途中に」。終業前にまとめて取らせて早上がりにする運用は、第34条第1項の休憩を与えたことにならない
  • 分割は合計が条文の分数に達していれば第34条第1項を満たす。第34条第3項の自由利用が保てる単位として、最低15分・3回までが管理しやすい
  • 一斉付与を外すには、第34条第2項の書面による労使協定を事業場ごとに結ぶ。電話番をさせる昼休みは休憩に数えない
  • 残業で8時間を超える日は、残業に入る前に15分を足して合計1時間にする。シフトの休憩を最初から60分にすれば足し直しが不要になる

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