タイムレコーダーが突然動かなくなったり、印字がズレたりすると、毎日の勤怠管理がストップしてしまいます。「修理すべきか、新しい機械に買い替えるべきか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、タイムレコーダーが故障した際の応急の記録の残し方から、修理・買い替えの費用比較、買い替えるなら勤務形態と集計のしかたでどう選ぶか、そして紙のタイムカードを使い続けながら集計だけを変える選択肢まで、中小企業の労務管理の視点で解説します。

よくある困りごと

タイムレコーダーの故障や買い替えで担当者が手を止める場面は、おおむね次の4つです。

場面何が起きるかなぜ起きるか
朝、タイムレコーダーが動かないその日の出勤・退勤の記録が残らず、あとで本人の記憶に頼ることになる復旧までの記録の残し方を決めていない(応急対応)
修理を頼んだら部品が無いと言われた修理できず、急いで買い替えることになるメーカーの部品保有期間が過ぎていた(修理サポート期限)
同じ機種に買い替えたのに、月末の集計が楽にならない転記と計算に毎月同じ時間がかかり続ける機械を替えても、カードから表計算ソフトへ打ち込む工程は残る(集計方法の見直し)
新しい機種にしたら、夜勤の退勤が翌日の行に印字される日ごとの集計が崩れ、締めで手直しが増える日付が切り替わる時刻の設定を既定のまま使っている(買い替えるなら)

自分で確認・修正できること

修理業者や販売店に連絡する前に、次の順で確かめておくと判断が早くなります。

  1. 故障した日から、紙の記録表で出勤・退勤を残し、その日のうちに管理者が確かめます(応急対応)。
  2. 本体のラベルでメーカー名と型番を控え、メーカーの公式サイトで修理の受付期限を確かめます(確認の手順)。
  3. 修理の見積額と、同じ機種の新品価格を並べます(費用3パターン)。
  4. 買い替えるなら、機種を見る前に「集計したい値・人数・締め日・勤務形態」の4点を書き出します(選び方)。
  5. 毎月の集計にかかっている時間を書き出し、機械を替えるだけで足りるか、集計の方法も変えるかを決めます(見直しのポイント)。

故障のよくある症状と当面の応急対応(手書き記録で凌ぐ)

タイムレコーダーの故障でよくある症状には、印字が薄い・ズレる、カードが吸い込まれない、液晶が表示されない、時刻がズレるなどがあります。

万が一、タイムレコーダーが完全に壊れて打刻できなくなった場合、当面は「手書き」による記録で凌ぐ必要があります。労働基準法第108条と同法施行規則第54条は、労働日数・労働時間数(時間外・休日・深夜の各労働時間数を含む)を労働者ごとに賃金台帳へ記入することを使用者に義務づけています。始業・終業時刻そのものの確認と記録については、次のガイドラインが取り扱いを示しています。

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)は、始業・終業時刻を、原則としてタイムカードやICカードなどの客観的な記録で確認することを求めています。タイムレコーダーが故障して客観的な記録が取れない間は、紙の記録表などで出勤・退勤を残し、自己申告に任せきりにしないことが大切です。

実務では、本人が書いた記録を管理者がその日のうちに確かめ、確認した印や署名を残しておくと、あとで実際の労働時間との食い違いを問われたときに説明できます。手書きの記録は復旧までの一時的な手段と位置づけ、記録の抜けや後からの書き足しが起きないよう、確認をその日のうちに終える運用にします。

手書き記録の注意点

本人の申告だけに頼る記録は、実際の労働時間とずれやすく、労働基準監督署の指導や未払い残業代の請求のきっかけになることがあります。労働安全衛生法第66条の8の3は、事業者に労働者の労働時間の状況を把握することを求めています。故障の間も、管理者がその日のうちに確かめた記録を残しておきます。

まず確認: メーカーの修理サポート期限

タイムレコーダーの修理を検討する際、最初に確認すべきなのがメーカーの「修理サポート期限」です。

メーカーにより部品保有期間は異なるため、必ずメーカー公式サイトの『修理対応期間』を確認してください(※メーカーや機種により異なります)。この期間を過ぎている場合、メーカーに修理を依頼しても「交換部品がない」という理由で修理を断られるケースがほとんどです。

まずは使用しているタイムレコーダーのメーカー名と型番(本体の背面や底面に記載されていることが多いです)を確認し、メーカーの公式ホームページでサポート対象の商品であるかを確認しましょう。すでに生産終了から何年も経過している古い機種の場合は、修理という選択肢自体が難しく、買い替えや別方式への移行を前提に検討を進める必要があります。

修理サポート期限の確認手順

  1. 型番の確認タイムレコーダー本体の背面や底面にあるラベルで、メーカー名と型番(モデル名)をメモします。
  2. 公式サイトの確認メーカーの公式ホームページの「サポート」または「生産終了品一覧」ページを開きます。
  3. 部品保有期間の確認該当機種の「修理受付終了日」または「部品保有期限」が過ぎていないか、メーカー公式サイトの案内を確認します。

修理・同型買い替え・方式変更の費用3パターン比較

タイムレコーダーが壊れた際、対応策は大きく分けて「修理する」「同じような機械に買い替える」「ITシステムなどの別方式へ移行する」の3パターンがあります。それぞれの費用感や特徴をあらかじめ把握しておくことで、自社にとって最適な判断が可能になります。

メーカーに修理を依頼する場合、修理費用は出張費や技術料を含めると数万円に達することがあります。新品の本体価格(2〜5万円程度)に近づくこともあります。修理の見積額と新品価格を並べ、あわせてメーカーの部品保有期間(修理対応期間)の残りを確認したうえで、修理か買い替えかを判断してください。そのため、事前に見積もり額と新品価格を比較検討することが重要です。

同型のタイムレコーダーを新規に買い替える場合は、本体価格として約2万円から5万円程度(メーカー公表価格や実売価格による)が必要です。この場合、現在使用しているタイムカードやカードラックをそのまま流用できるメリットがあります。

方式を変える場合は、打刻そのものをPCやスマホに替える勤怠管理システムと、いまの紙のタイムカードを続けて集計だけをデータ化する方法に分かれます。紙のまま撮影してデータ化する方法なら、タイムレコーダーとカードはそのまま使い続けられます(紙カードのまま集計だけ変える選択肢)。

故障時の対応3パターンの費用・特徴比較

対応パターン初期費用(目安)月額費用特徴
メーカー修理メーカー規定による(出張費・部品代含め数万円〜)なし使い慣れた機械をそのまま使えるが、修理対応期限に注意が必要
同型買い替え2万円〜5万円程度なしカードやラックがそのまま使えるが、月末の集計作業の負担は変わらない
紙のまま撮影してデータ化(パシャ勤怠の場合)0円100円 / 人(税抜)いまのタイムレコーダーとカードを使い続けられ、転記が撮影と確認に置き換わる

買い替えのタイミングは集計方法を見直すチャンス

タイムレコーダーの故障は、単に新しい機械を買い替えるだけでなく、毎月の「集計作業」にかかっている目に見えないコストを見直す絶好のチャンスです。

紙のタイムカードを使い続けている企業の多くは、月末に回収したカードの打刻時間を、担当者が手計算したりExcelに手入力したりして集計しています。30名のモデル試算では、カードの回収を除いても、転記・集計・確認に毎月約22時間かかります。時給2,000円とすると、毎月約4.4万円分の人件費がこの集計作業に充てられている計算です。

タイムレコーダーを新しく買い替えても、この月末の集計負担は一切変わりません。故障を機に、毎月の集計業務をどのように効率化できるか、業務プロセス全体を視野に入れて検討することをおすすめします。

紙カードのまま集計だけ変えるという選択肢

これまでの打刻方法を変えたくない、またはITツールに不慣れな従業員が多いため、紙のタイムカードでの打刻を続けたいという企業も多いでしょう。そうした会社に向く選択肢の一つが、「紙のタイムカードでの打刻はそのままに、集計作業だけをデジタル化する」という方法です。

これは、従業員は従来通り壁掛けのタイムレコーダーで紙のカードに打刻し、月末にそのタイムカードをスマートフォンのカメラで撮影するだけで、文字認識技術によって打刻データを自動で読み取り、集計を行う方法です。

この方法であれば、現場の従業員は新しい打刻操作を覚える必要がなく、管理者は月末の手入力の転記をしなくて済みます。専用のICカードリーダーや従業員全員分の端末を用意する必要がないため、導入コストを抑えられるのが特徴です。

買い替えるなら:勤務形態と集計のしかたで選ぶ

買い替えを決めたら、カタログの機種名を見る前に、次の4点を決めます。タイムレコーダーは「打刻を記録するだけの機械」と「時間まで計算する機械」に分かれ、計算する機械も、日ごとの実働時間を出すもの・残業時間を出すもの・月間の合計まで出すものに分かれます。4点が決まれば、候補はおのずと絞れます。

決めること選択肢の例機種選びへの影響
集計したい値記録だけ/日ごとの実働/残業/月間合計打刻だけの機種か、計算する機種か。計算するなら実働か残業か
人数10名/50名/100名超月間の合計まで機械に出させる機能には、使える人数の上限があるのが一般的
締め日月末/15日/20日など締め日ごとにカードの型式が分かれる方式と、本体で締め日を設定する方式がある
勤務形態日勤のみ/中抜けあり/夜勤あり1日に打刻できる回数(2回・4回・6回)と、日付が切り替わる時刻の設定

選ぶ手順

  1. 勤務形態を書き出す: 全員が朝出て夕方帰るのか、昼の中抜けや外出があるのか、日をまたぐ夜勤があるのかを、雇用区分ごとに書き出します。中抜けを記録するなら1日4回以上打刻できる機種、夜勤があるなら日付が切り替わる時刻を設定できる機種が候補です。
  2. 集計したい値を1つに決める: 時給のパート・アルバイトが中心なら日ごとの実働時間、月給の社員の残業管理が目的なら残業時間です。両方を1台で計算させられる機種は限られるので、主な目的をどちらかに決めます。
  3. 人数を数える: 採用の予定も含めた人数で選びます。月間の合計を印字させる機能の上限を超えると、その機能が使えなくなります。
  4. 締め日とカードを合わせる: 締め日入りのカードを使う方式なら、自社の締め日に合う型式を選びます。合わない型式だと、日付とカードの行がずれます。

勤務形態ごとの向く構成

勤務形態業種の例向く構成
日勤のみで、記録が残ればよい小規模な製造、事務所1日2回打刻できる機種。集計は別の方法で行う前提
時給のパート中心で、実働を集計したい飲食、小売、クリニック日ごとの実働時間と累計を印字できる機種
月給の社員の残業を管理したい製造、卸、建設残業時間の計算を選べる機種
昼の中抜け・外出が多い介護、清掃、警備1日4〜6回打刻できる機種
夜勤・日をまたぐ勤務がある介護、警備、24時間稼働の工場日付が切り替わる時刻を設定できる機種。機種選びより設定が大切
集計データを給与計算に使いたい全業種CSVを書き出せる機種、または紙のまま撮影してデータ化する方法(紙カードのまま集計だけ変える選択肢)

選ぶときによくある失敗

よくあるミス起こる理由対策
締め日とカードの型式が合っていない締め日入りのカードは型式ごとに締め日が決まっており、会社の締め日の変更にカードの発注が追いついていない締め日を変えたら、カードの型式も同時に見直す。発注の担当者にも締め日を伝えておく
月の途中で締め日の設定を変えてしまう使用中に締め日や日付が切り替わる時刻を変えると、それまでの打刻や計算の記録が消える機種がある設定の変更は締め日の直後に行い、変えたら新しいカードに切り替える
夜勤の退勤が翌日の行に印字される日付が切り替わる時刻を既定のまま使い、その時刻より後の退勤が翌日の出勤として印字されている夜勤の最も遅い退勤より後に切り替わるよう設定する。日またぎの勤務を同じ行に印字させるボタンがある機種もある
人数が増えて、月間の合計が出なくなった月間の合計を印字する機能に人数の上限がある機械には日ごとの計算までを任せ、月間の集計は表計算ソフトやデータ化の方法に移す
実働と残業の両方を1台に求める多くの機種は実働と残業のどちらか一方を選んで計算する主な目的を1つに決める。両方が要るなら、集計は機械の外で行う

拠点が複数あるときは、拠点ごとに同じ機種・同じ設定(締め日・日付が切り替わる時刻)にそろえておくと、本社での集計がそろいます。集計の方法ごとの費用と工数の違いはタイムカードの集計方法4種類の比較にまとめています。

次の一手

タイムレコーダーの故障を機に、紙のタイムカードの使い慣れた運用を残したまま、月末の転記だけをなくす方法もあります。パシャ勤怠は、紙のタイムカードをスマートフォンで撮影し、AI-OCR で勤怠データに変換するクラウド勤怠管理サービスです。

いまのタイムレコーダーはそのまま使え、買い替えは要りません。

料金は月100円/人(税抜)で、初期費用はかかりません。

よくある質問

故障している間の勤怠記録はどうすればいいですか?

復旧までは、紙の記録表や表計算ソフトに出勤・退勤の時刻を残します。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、始業・終業時刻を原則として客観的な記録で確認することを求めているので、本人の申告に任せきりにせず、管理者がその日のうちに内容を確かめて確認の印や署名を残しておくと、あとで説明できます。

修理と買い替えの判断基準はどう考えればいいですか?

一般に、購入から5年以上が経過している場合や、メーカーの修理サポート期限が切れている場合は、買い替えまたは別方式への移行を検討するのが合理的です。部品の保有期間はメーカーや機種によって異なるため、対応期限は必ずメーカー公式サイトの修理対応情報でご確認ください。修理費用はメーカー規定によりますが、出張費・技術料を含めて数万円になる場合もあります。単に機器を買い替えるだけでなく、毎月の集計にかかる人件費を考慮し、初期費用なし、月額100円(税抜)/人で集計を自動化できるシステムを導入する方が、長期的なコストパフォーマンスが高くなるケースが多いです。

修理と買い替えを判断するための具体的なチェックポイントはどこですか?

「メーカーの部品保有期限内か」「修理見積額が新規購入費用の半分を超えていないか」「現在の機器で月末の集計作業にどれだけの時間(人件費)がかかっているか」の3点です。修理して使い続けられたとしても、手集計による人件費コストが毎月発生し続けるため、集計負荷が高い場合はシステム移行を推奨します。

打刻の方法を変えるとき、現場の混乱を防ぐにはどうすればよいですか?

変える範囲を小さくすることです。打刻そのものをPCやスマホに替えると、全員に新しい操作を覚えてもらう必要があります。打刻は紙のタイムカードのまま続け、集計の方法だけを担当者の側で変えれば、現場の従業員が覚えることは増えません。

結局どのメーカーのタイムレコーダーを選べばよいですか?

メーカーで決めるより、集計したい値・人数・締め日・勤務形態の4点で絞るほうが確実です。時給のパートの実働を集計するなら日ごとの実働と累計を印字できる機種、社員の残業を管理するなら残業の計算を選べる機種、中抜けが多い職場なら1日4回以上打刻できる機種、というように条件から逆に引くと、候補は2〜3機種まで絞れます。

この記事のまとめ
  • 故障の間は紙の記録表などで出勤・退勤を残し、管理者がその日のうちに確かめて確認の印や署名を残す
  • メーカーの修理サポート期限(部品保有期間)はメーカー・機種で異なるため、公式サイトでまず確認する
  • 修理、買い替え、システム移行の3パターンの費用とメリットを比較する
  • 買い替えるなら、機種名より先に集計したい値・人数・締め日・勤務形態の4点を決める
  • 紙のタイムカードの運用を変えずに、集計だけをデータ化する選択肢もある

まずは本体のラベルで型番を控え、メーカーの修理の受付期限を確かめるところから始めてください。買い替えるなら、上の4点を書き出してから販売店に相談すると、機種の提案がぶれません。月末の集計まで見直したい場合は、無料で試すこともできます。