勤怠管理の負担を減らそうとするとき、「システムを入れる」から考えると失敗しがちです。まず自分たちの月次業務を工程に分け、どこに時間がかかっていて、どれを人に渡せるかを見てから道具を選ぶほうが確実です。この記事では、担当者の業務を6つの工程に分解し、従業員に任せられるもの・自動化できるもの・担当者に残るものを仕分けします。
担当者業務を6工程に分解する
30名規模の会社で、毎月の勤怠業務にかかる時間の目安です。会社ごとに差はありますが、内訳の傾向は共通しています。
| 工程 | 内容 | 担当者の負担 | 誰に渡せるか |
|---|---|---|---|
| 1. 回収 | カードを集める・催促する | 中 | 従業員 |
| 2. 転記・計算 | 時刻を写して実働を計算する | 大 | 自動化(OCR) |
| 3. 打刻漏れ対応 | 欠けを探し、聞き、直す | 大 | 従業員(申請) |
| 4. 有給管理 | 残日数の管理と問い合わせ対応 | 中 | 従業員(申請) |
| 5. 確認・承認 | 集計結果と申請の妥当性を見る | 小 | 担当者に残る |
| 6. 出力・引き渡し | 給与ソフトや社労士へ渡す | 小 | 担当者に残る |
負担が「大」の2つ、つまり転記・計算と打刻漏れ対応から手を付けるのが効率的です。
工程1。カードの回収
全員分のカードが揃うまで締め作業は始められません。1人でも出し忘れると全体が止まるため、催促の連絡に時間を取られます。拠点が分かれていれば、郵送やスキャンの手間も加わります。
従業員本人が自分のカードを撮影して提出する運用にすると、回収そのものがなくなります。提出済みかどうかは管理画面で一覧できるため、未提出の人だけに声をかければ済みます。詳しくは従業員セルフサービスの記事をご覧ください。
工程2。転記と計算
もっとも時間がかかる工程です。30名分の時刻をエクセルに写し、実働時間を計算し、間違いがないか元のカードと突き合わせる。この一連で月4~8時間かかるのが一般的です。
ここは人に渡すのではなく、自動化する部分です。タイムカードを撮影してAIが時刻を読み取れば、転記と計算がまとめてなくなります。エクセルで計算だけを自動化しても転記は残るため、削減幅は限定的です。この違いはエクセル集計の自動化と限界で整理しています。
工程3。打刻漏れの対応
時間を食っているのは入力ではなく、本人に連絡して返事を待つ時間です。10人に確認すれば、その待ちが締め作業を止めます。
本人が自分の勤怠を見て修正申請する形にすると、担当者の作業は承認だけになります。承認すると実働時間や残業の計算も自動でやり直されます。詳しい流れは修正申請の記事で解説しています。
工程4。有給の管理
残日数の問い合わせ対応と、台帳への転記が主な負担です。年5日の取得義務が加わってからは、取得状況の把握も担当者の責務になりました。
本人が残日数を見て申請できるようにすると、問い合わせと転記が同時になくなります。承認と同時に残日数が消化されるため、台帳とのずれも起きません。詳しくは有給申請をスマホからの記事をご覧ください。
担当者に残る工程
すべてを渡せるわけではありません。次の2つは担当者の判断が必要な工程として残ります。
確認と承認。申請内容が妥当か、集計結果に不自然な点がないかを見る仕事です。ここを省くと、誤った申請がそのまま給与に反映されてしまいます。ただし「探して直す」から「見て承認する」に変わるため、時間は大きく減ります。
出力と引き渡し。確定した勤怠を給与ソフトに取り込むか、社労士や給与計算代行に渡す工程です。エクセルやCSVで出力できれば数分で終わります。手順は給与ソフトへの取り込み方法で解説しています。
結果として、担当者の役割は「作業する人」から「確認して判断する人」に変わります。属人化の解消という意味でも、この形のほうが引き継ぎが容易です。
着手する順番
すべてを同時に変えると、現場の混乱と問い合わせが集中します。次の順番をおすすめします。
- まず転記をなくす。担当者側だけで完結し、従業員に何も求めないため、抵抗なく始められます。効果も最大です。
- 次に修正申請を従業員に開く。打刻漏れが多い人から順に慣れてもらうと、問い合わせが分散します。
- 続いて有給申請を移す。付与の切り替わり時期に合わせると、移行時の突き合わせが楽になります。
- 最後にカードの撮影提出を移す。従業員の操作がもっとも増える部分なので、他が定着してからにします。
いずれの段階でも、従業員に任せる範囲は会社ごとに選べます。担当者だけで完結する運用のまま、転記の自動化だけを使い続けることもできます。
よくある質問
従業員に作業を任せると、かえって現場が混乱しませんか?
一度にすべてを移すと混乱します。転記の自動化のように従業員に何も求めない部分から始め、慣れてきたら申請を移す、という順番をおすすめします。任せる範囲は会社ごとに選べるため、一部の従業員だけ、一部の機能だけ、という始め方もできます。
担当者が1人しかいない小さな会社でも効果はありますか?
担当者が1人の会社ほど効果が出やすい面があります。すべての作業がその人に集中しているため、転記と打刻漏れ対応がなくなるだけで月の負担が大きく変わります。また、その担当者が休んでも記録が画面に残っているため、他の人が状況を把握できる状態になります。
どの工程から手を付けるべきか判断できません。
まず1か月分の作業時間を工程ごとにおおまかに記録してみてください。多くの場合、転記と打刻漏れ対応が全体の大半を占めます。自社の状況に合うかどうかは、適合チェックのページでも確認いただけます。
- 勤怠業務は6工程に分けられ、時間を食うのは「転記・計算」と「打刻漏れ対応」
- 転記は自動化、回収・修正申請・有給申請は従業員に任せられる
- 確認と承認、出力と引き渡しは担当者に残るが、作業から判断に変わる
- 着手は転記の自動化から。従業員に操作を求める部分は最後にする
パシャ勤怠は、転記の自動化から従業員セルフサービスまでを追加費用なしで使えるクラウド勤怠サービスです。自社の工程のどこから手を付けるべきか迷われる場合は、お問い合わせいただければ現状をうかがったうえでご提案します。