勤怠の集計が終わっても、給与ソフトへの入力がまた手作業。数字の転記ミスが怖くて、二重チェックに時間を取られている担当者の方は多いのではないでしょうか。この記事では、勤怠データをCSVで給与ソフトに取り込む基本手順と、主要3ソフトの対応状況、そして残業内訳や欠勤控除などつまずきやすい項目の合わせ方を整理します。

給与ソフトへの手入力が締めの最後のボトルネック

勤怠の締め作業は「記録→集計→給与計算」の3段階で進みます。タイムカードの集計まで終えても、その結果を給与ソフトに手で打ち直しているなら、締めはまだ終わっていません。

たとえば従業員20人の会社で、出勤日数・労働時間・残業時間・深夜時間・欠勤日数・有給取得日数の6項目を入力すると、それだけで120マスの手入力になります。1マス20秒でも40分、さらに入力後の読み合わせ確認で同じくらいの時間がかかります。

問題は時間だけではありません。転記ミスは給与の誤支給に直結します。誤りが翌月に発覚すれば、差額の精算、給与明細の再発行、従業員への説明と、手入力の何倍もの手間が発生します。Excelで集計している場合も、最後の転記が残る構図は同じです(Excelでの勤怠集計の限界も参考にしてください)。この最後の工程を、CSVの取り込みに置き換えるのが本記事のテーマです。

CSVインポートの基本の流れ(出力→項目マッピング→取込)

CSV(カンマ区切りのテキストファイル)による勤怠データの取り込みは、どの給与ソフトでもおおむね次の3ステップです。

  • ステップ1: 勤怠側からCSVを出力する。従業員コード、出勤日数、労働時間、残業時間などの列を持つファイルを書き出します。
  • ステップ2: 項目マッピング(割付)を設定する。CSVのどの列を給与ソフトのどの項目に入れるかを対応付けます。鍵になるのは従業員コードの一致で、勤怠側と給与側で同じコード体系に揃っていないと、正しい人に紐付きません。
  • ステップ3: テスト取込で検証してから本取込する。まず数名分で取り込み、残業時間などが意図どおり入ったかを確認してから全員分を流します。

もうひとつの定番のつまずきが時間の表記形式です。「8:30」のような60進法(時:分)と「8.5」のような10進法(小数)のどちらを受け付けるかはソフトや設定により異なります。取込前に、勤怠側の出力形式と給与側の受入形式を必ず突き合わせてください。

主要給与ソフトの勤怠データ取込対応の客観整理

広く使われている3つの給与ソフトは、いずれも公式ヘルプで勤怠データのCSV取込(インポート)の手順が案内されています。以下は2026年7月時点の各社公式ヘルプに基づく整理です。機能名や仕様は変更されることがあるため、取込前に必ず各社の最新情報をご確認ください。

給与ソフト勤怠データのCSV取込確認しておきたい点
弥生給与対応(勤怠項目を含むデータのインポート機能)取込用レイアウトの項目の並び・形式に合わせる
freee人事労務対応(勤怠データのCSVインポート)指定テンプレートの列構成に合わせる
マネーフォワード クラウド給与対応(勤怠データのインポート)時間の表記形式(60進・10進)の設定を確認

3ソフトとも「CSVを用意し、項目を対応付けて取り込む」という基本構造は共通です。したがって、勤怠側で取り込みやすい形のデータを安定して出せるかが、実務では対応可否そのものより重要になります。

つまずきやすい項目: 残業の内訳・欠勤控除・有給

取込エラーより厄介なのが「取り込めたのに金額が合わない」ケースです。原因の多くは次の3項目にあります。

1. 残業の内訳。労働基準法37条に基づき、割増賃金の率は時間外労働(法定労働時間超)が25%以上、月60時間を超える部分が50%以上、深夜労働(22時〜翌5時)が25%以上、法定休日労働が35%以上と区分ごとに異なります。勤怠側の出力が「残業合計」1本だと、給与側の割増区分に正しく配分できません。法定内残業と法定外残業を分けた列で出力できるかを確認してください。割増賃金の計算手順は割増賃金の計算4ステップで詳しく解説しています。

2. 欠勤控除。欠勤時の控除は法律で計算式が一律に決まっているわけではなく、就業規則の定めによります。給与ソフトが「欠勤日数」を受け取って自動計算するのか、「控除額」を直接受け取るのかで、CSVに載せるべき列が変わります。

3. 有給。給与ソフト側は有給の取得日数を受け取るだけの構成が多く、残日数の管理は勤怠側の仕事です。取得日を勤怠記録上で欠勤と混同しないよう、区分を分けて集計しておく必要があります。

タイムカードOCRから給与ソフト取込までの流れ

「CSV連携は勤怠システムを導入している会社の話で、紙のタイムカードのうちは無関係」と思われがちですが、そうではありません。紙のまま、給与ソフトに渡せるデータの出力までを自動化する方法があります。

パシャ勤怠では、月末に紙のタイムカードをスマホで撮影すると、OCR(画像から文字を読み取る技術)が出退勤の時刻をデータ化します。読み取った時刻は就業ルールに基づいて自動集計され、法定内残業・法定外残業・深夜・休日(法定/所定)といった割増区分を分けた月次集計をダウンロードできます(集計一覧はExcel形式。給与ソフトの取込レイアウトに合わせて列を整え、CSV保存してから取り込みます)。日々の出退勤明細はCSVでも出力できます。

タイムレコーダーの買い替えも、従業員の運用変更も必要ありません。撮影からデータ化までの具体的な流れはタイムカードを写真で読み取る仕組みを、集計の自動化については勤怠集計の自動計算をご覧ください。

次の一手|転記の工程だけをなくすことから始める

給与ソフトもタイムカードの運用も、いまのままで構いません。変えるのは「集計結果を手で打ち直す」工程だけです。撮影→データ化→データ出力→給与ソフト取込という流れが一度できあがれば、翌月からは同じ手順の繰り返しになり、締めにかかる時間は大きく変わります。締め作業全体をどこまで短縮できるかは締め作業を半日にする方法で紹介しています。

よくある質問

CSVの項目名がソフト側と合わないときはどうしますか?

多くの給与ソフトには、取込時にCSVの列と給与項目を対応付ける「項目マッピング(割付)」の設定があり、項目名が違っても列の対応を指定すれば取り込めることが一般的です。マッピングで吸収できない場合は、ソフト指定の列名・並び順に整えたExcelテンプレートを一度作り、毎月そこに貼り付けてCSV保存する運用が安定します。

給与ソフト側の取込設定は毎月やり直しが必要ですか?

一般に、初回に作成した取込レイアウトやマッピング設定はソフト側に保存され、翌月以降はそのまま再利用できます。毎月ゼロから設定し直す必要は通常ありません。ただし、入社・退社で従業員コードが増減したときや、手当・控除の項目を追加したときは、対応関係がずれていないかを取込前に確認してください。

この記事のまとめ
  • CSV取込の基本は「出力→項目マッピング→取込」の3ステップ。従業員コードの一致が最重要
  • 弥生給与・freee人事労務・マネーフォワード クラウド給与はいずれも勤怠CSVの取込に対応(仕様は取込前に公式ヘルプで確認)
  • 残業は合計1本ではなく、法定内・法定外・深夜・休日の区分を分けて出力できるかを確認する
  • 取込レイアウトは初回に保存すれば翌月以降は流用できることが一般的
  • 紙のタイムカードのままでも、撮影から割増区分別の集計(Excel)・明細CSVの出力までは自動化できる

勤怠データの給与ソフト連携や、紙のタイムカードのデータ化が自社の運用に合うかどうか、気になる点があればお気軽にお問い合わせください。いまの締め作業の流れを伺ったうえで、手入力をなくす具体的な進め方をご案内します。