「有給、あと何日残っていますか」。この質問に答えるために台帳を開く回数は、従業員数が増えるほど積み上がります。年5日の取得義務が加わってからは、誰が何日取ったかを担当者が把握し続ける必要も出てきました。この記事では、有給の申請と残日数の確認を従業員本人に任せることで、担当者の管理業務がどう変わるかを解説します。
紙の申請書とExcel台帳の限界
紙の申請書で運用している場合、承認された申請書を担当者が受け取り、Excelの台帳に転記して残日数を引く、という流れになります。ここには3つの弱点があります。
残日数が常に古い。台帳への転記が追いつくまで、正しい残日数は担当者しか分かりません。従業員は自分の残りが分からないため、申請のたびに問い合わせが発生します。
転記が漏れると誰も気づかない。申請書を受け取ったまま台帳に反映し忘れると、残日数が多いままになります。年度末の付与計算で初めて食い違いに気づく、というケースは珍しくありません。
付与日が人によって違う。入社日が異なれば付与日も異なり、勤続年数によって付与日数も変わります。全員分を手作業で管理し続けるのは、人数が20名を超えたあたりから現実的でなくなります。付与日数の考え方は有給休暇の付与日数は何日?で早見表とともに解説しています。
本人が残日数を見られると何が変わるか
| 場面 | 紙+台帳の運用 | 本人が画面で確認できる運用 |
|---|---|---|
| 残日数の確認 | 担当者に聞く | 自分の画面で見る |
| 申請 | 紙に書いて提出 | スマホから送信 |
| 残日数の更新 | 担当者が台帳に転記 | 承認と同時に自動で消化 |
| 取得状況の把握 | 台帳を集計して数える | 管理画面で一覧できる |
| 担当者の作業 | 受け取る・転記する・答える | 承認する |
問い合わせが減るだけでなく、転記漏れによる残日数のずれも起きなくなります。担当者が「正しい数字を持っている人」である必要がなくなり、システムが正本を持つ状態になります。
申請から承認・消化までの流れ
- 従業員が残日数を確認する。スマホの画面で、自分の有給の残日数と、これまでの取得履歴が表示されます。
- 取得したい日を選んで申請する。日付と、必要に応じて理由を入力して送信します。
- 担当者が承認する。管理画面の申請一覧に並んだ申請を確認し、承認または却下します。
- 承認と同時に残日数が減る。承認された時点で残日数から消化され、取得履歴にも記録されます。台帳への転記は不要です。
却下する場合も理由を残せるため、あとから「なぜ承認されなかったのか」を確認できます。
年5日の取得義務への対応
年10日以上の有給が付与される従業員には、年5日を確実に取得させる義務があります。違反した場合は従業員1人につき30万円以下の罰金の対象となるため、取得日数の把握は担当者の責務です。
取得状況が画面で一覧できると、期限が近いのに取得が進んでいない人を早い段階で見つけられます。年度末に慌てて消化日を割り当てる、という事態を避けやすくなります。義務の対象者や実務対応の詳細は有給休暇の年5日取得義務とは?で解説しています。
パート・アルバイトの有給も同じ画面で
週の所定労働日数が少ないパート・アルバイトにも、条件を満たせば比例付与で有給が発生します。付与日数が正社員と異なるため管理が煩雑になりがちですが、申請と残日数の確認は正社員と同じ画面で行えます。
パート・アルバイトの方はスマホしか持っていないことも多いため、パソコンを使わずに残日数を確認して申請できることは、実務上の効果が大きい部分です。
導入時に決めておくこと
何日前までに申請するか。シフトを組む都合上、直前の申請を認めるかどうかは事前に決めておきます。システム上の制限ではなく社内ルールとして周知します。
誰が承認するか。拠点や部署ごとに承認者を分けるか、担当者が一括で承認するかを決めます。承認できる人は権限の設定で絞り込めます。
半日・時間単位の扱い。半日単位や時間単位の有給を認めている場合は、社内での数え方をそろえておきます。就業規則の定めと運用がずれていないかも、この機会に確認しておくと安心です。
よくある質問
残日数より多く申請されることはありませんか?
従業員の画面には現在の残日数が表示されるため、残りを超える申請は起きにくくなります。承認前に担当者が残日数と申請内容を確認できるため、疑問があれば却下したうえで本人に確認できます。
これまでExcelで管理していた残日数は引き継げますか?
従業員ごとの付与日と残日数を初期設定として登録すれば、そこから運用を始められます。導入時期は、付与の切り替わり直後など区切りの良いタイミングを選ぶと、移行時の突き合わせが楽になります。具体的な移行方法はお問い合わせ時にご相談ください。
申請があったことはメールで通知されますか?
現時点ではメールやプッシュ通知は送られません。未処理の申請は管理画面に件数として表示されるため、週の初めや締めの前など、確認するタイミングを決めておく運用をおすすめします。
- 紙+Excel台帳の弱点は「残日数が古い」「転記漏れに気づけない」「付与日が人ごとに違う」
- 本人が残日数を見られると、問い合わせ対応と転記作業がなくなる
- 承認と同時に残日数が消化され、取得履歴も自動で残る
- 年5日の取得義務は、取得状況の一覧で早めに把握できる
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