タイムレコーダーの買い替えや新規導入で、カタログの機種名を先に眺めていませんか。実は選定を左右するのは機種名ではなく、「何を集計したいか」「何人で使うか」「締め日はいつか」「夜勤や中抜けがあるか」の4点です。この順番で決めれば機種はほぼ自動的に絞れます。この記事では、選定の手順と、アマノ・セイコー・マックス・ニッポーの現行機種の比較、業界別の向き不向き、そして選定でつまずきやすい失敗を、各社の取扱説明書と公式製品情報(2026年8月時点)に基づいて整理します。

機種より先に決める4つのこと

タイムレコーダーは「打刻を記録する機械」と「時間を集計する機械」の2階級に分かれます。さらに集計機は、1日の実働時間を出すもの、残業時間を出すもの、月間の合計まで出すものに分かれ、多くの機種は実働計算と残業計算のどちらか一方を選んで使う設計です。だから最初に決めるのは機種ではなく、次の4点です。

決めること選択肢の例機種選定への影響
集計したい値記録だけ / 日ごとの実働 / 残業 / 月間合計打刻専用機か集計機か。実働型か残業型か
人数10名 / 50名 / 100名超集計機能には人数上限があるのが一般的
締め日月末 / 15日 / 20日 などタイムカードの型式が締め日で分かれるメーカーがある
勤務形態日勤のみ / 中抜けあり / 夜勤あり1日の打刻回数(2回・4回・6回)と夜間設定

選定の手順(5ステップ)

担当者がそのまま進められる順で書きます。

ステップ1: 勤務形態を棚卸しする。全員が朝出て夕方帰るのか、昼の中抜けや外出があるのか、日をまたぐ夜勤があるのかを、雇用区分ごとに書き出します。中抜けを記録するなら1日4回以上打刻できる機種、夜勤があるなら「日付変更時刻」(タイムレコーダー上の1日の切り替わり時刻)を設定できる機種が候補になります。

ステップ2: 集計したい値を1つ選ぶ。時給のパート・アルバイトが中心なら「実働時間」、月給の正社員の残業管理が目的なら「残業時間」です。両方を1台で自動集計できる機種は限られるため、主目的をどちらかに決めます。

ステップ3: 人数を数える。月間の合計まで機械に印字させる場合、対応人数はおおむね50名前後、日ごとの計算だけなら100名前後が上限という設計が一般的です。上限を超える人数で使うと、月間合計の印字機能が使えない設定になります。

ステップ4: 締め日を確認する。アマノの標準カードのように、締め日の組み合わせごとにカードの型式(A・B・C)が分かれ、日付があらかじめ印刷されている方式があります。締め日フリーのカードや、レコーダー側で締め日を設定する方式(マックス・セイコー)もあります。自社の締め日に合う型式を選ばないと、日付とカードの行がずれます。

ステップ5: カードの様式を決める。1ヶ月を表裏2面で使う両面カードと、片面で1ヶ月ぶんの片面カードがあります。両面カードは先に使う面が月の前半になる方式が一般的で、アマノの標準カードは使い始める面(青い面か赤い面か)で締め日が切り替わります。ここまで決まれば、次の比較表から機種が絞れます。

主要4社の現行機種を比較

2026年8月時点で各社が販売中の紙タイムカード式レコーダーです。値は各社の取扱説明書・公式製品情報に基づきます。

メーカー機種1日の打刻集計機能特徴
マックスER-60SU4回なし(打刻専用)出勤簿代わりの記録用。最大100名
ER-80SU / 80SUW2回日ごとの計算・累計シンプルな集計機。80SUWは電波時計つき
ER-110SU系4回日ごとの計算・累計売れ筋。USB対応機はCSVで書き出せる
ER-250S26回ありシリーズ上位機。外出・休憩も記録
セイコーZ1502回または6回集計方法を6種類から選択1台で「2欄集計機」にも「6欄印字機」にもなる。月間集計は50名まで、日ごとの計算のみなら100名まで。専用カードのみ使用可
Z1706回データ出力型打刻データをUSBメモリへCSV出力し、PCで集計
アマノBX2000J2回なし(打刻)標準A〜Dカード。締め日ボタンで簡単設定
EX3000J系6回なし(打刻)外出・戻りも記録。特定の曜日や時刻以降を赤で印字できる
MX-1000 / MX-30002回日ごとの時間数・累計カードの5欄目に日ごとの時間数、6欄目に累計を印字。締め日を2種類まで設定可
TimeP@CK Ⅲ100 / Ⅲ150WL4回 / 6回PCソフトで集計勤怠管理ソフト付き。集計はパソコン側で行う
ニッポータイムボーイ8プラス4欄または6欄なし(打刻)打刻記録に特化
カルコロ系4欄または6欄時間計算を印字時間計算の結果をカードに印字

出典: 各社の取扱説明書・公式製品ページ(2026年8月時点)。仕様は変更されることがあるため、購入前に最新のカタログでご確認ください。

勤務形態と業界別の向き不向き

勤務形態業界の例向く構成
日勤のみ・記録が残ればよい小規模製造、建設の事務所、士業2回打刻機(ER-80SU、BX2000J)。集計は別の方法で行う前提
時給パート中心で実働を集計したい飲食、小売、クリニック実働時間の日ごとの計算と累計が出る機種(ER-80SU、Z150、カルコロ、MXシリーズ)
月給正社員の残業を管理したい製造、卸、建設残業時間の集計を選べる機種(Z150の残業方式、MX-3000の社員方式)
昼の中抜け・外出が多い介護、清掃、警備、歯科4回から6回打刻できる機種(ER-110SU系、ER-250S2、EX3000J系、Z170)
夜勤・日またぎ勤務がある介護、警備、24時間稼働の工場日付変更時刻を設定でき、徹夜勤務用のボタンがある機種。機種選びより設定が重要(後述)
集計データを給与ソフトへ渡したい全業種CSV出力機(Z170、ER-110SUWのUSB対応機)またはソフト付き(TimeP@CK)。紙のまま撮影してデータ化する方法もあります

選定でよくある失敗

よくあるミス起こる理由対策
締め日とカードの型式が合っていない締め日入りのカードは型式ごとに対応する締め日が固定されているため、会社の締め日変更にカードの発注が追従していない締め日を変えたら、カードの型式も同時に見直す。発注担当に締め日を共有しておく
月の途中で締め日設定を変更してしまう使用中に締め日や日付変更時刻を変えると、それまでの打刻・計算データが消去される機種がある(取扱説明書に明記)設定変更は締め日の直後に行う。変更したら新しいカードに切り替える
両面カードの使い始めの面を間違える両面カードは先に使う面が月の前半になる。アマノ標準カードは面の選択で締め日自体が変わる月初に配るときの面を掲示で統一する。誤挿入を検知して印字しない機種もある
人数が増えて月間集計が出なくなった月間合計の印字は50名前後まで、という人数上限のある機種が多い採用計画も含めた人数で選ぶ。超えた場合は日ごとの計算だけ機械に任せ、月間集計は別の方法にする
実働と残業の両方を1台に求める多くの機種は実働計算と残業計算のどちらか一方を選ぶ設計主目的をどちらかに決める。両方が必要なら集計は機械の外(ソフトやデータ化サービス)で行う

法令と実務(記録の保存)

どの機種を選んでも変わらない義務があります。労働基準法第109条では、労働関係に関する重要な書類を5年間(当分の間は3年間)保存することが定められています。タイムカードはこの「重要な書類」にあたるとされており、集計が終わった後も廃棄せずに保管する必要があります。

また、労働基準法第108条では、事業場ごとに賃金台帳を調製し、労働日数や労働時間数などを記入することが定められています。つまり実務では、タイムカードの集計値を賃金台帳へ正しく転記できる状態にしておく必要があります。

保管の実務としては、月ごと・締め日ごとにまとめ、求められたときに取り出せる形にしておくと管理しやすくなります。紙のまま保管しつつ、撮影してデータでも持っておくと、労務監査や労働基準監督署の調査で慌てずに済みます。

迷いどころ

締め日が20日などの月末以外の場合は。締め日入りカードのメーカーなら対応する型式(例: 20日締め用)を選びます。締め日フリーの機種なら本体設定で合わせます。いずれも、カードの1行目が「締め日の翌日」から始まる構造は共通です。

夜勤の打刻はどの行に印字されるのか。日付変更時刻の設定が境目になります。たとえば設定が3:00の機種で朝5:00に退勤打刻をすると、翌日の行の出勤欄に印字される仕様が取扱説明書に明記されています。夜勤があるのに既定のまま使うと、退勤が翌日の出勤として印字され、集計が崩れます。徹夜勤務用のボタンで同じ行に印字させる運用も用意されています。

従業員が50名を超えたら。月間集計の印字が使えない設定になる機種が多いため、機械には日ごとの計算までを任せ、月間の集計は表計算ソフトやデータ化サービスに移すのが現実的です。

複数の拠点がある場合は。拠点ごとに同じ機種・同じ設定(締め日・日付変更時刻)に揃えておくと、本社での集計が楽になります。設定がばらつくと、同じカードでも印字のされ方が拠点ごとに変わります。

今の機種が古くて調子が悪い場合は。修理か買い替えかの判断基準はタイムレコーダーが故障、修理と買い替えどっち?で詳しく整理しています。メーカーの修理サポート期限の確認が最初の一歩です。

機種を替えない、という選択肢

ここまで機種の選び方を書いてきましたが、集計のためだけに買い替えを検討しているなら、もう1つ道があります。いまのタイムレコーダーとタイムカードをそのまま使い続け、月末にカードをスマホで撮影してデータ化する方法です。パシャ勤怠は撮影したタイムカードをAIが読み取り、日ごとの時間と月間の集計まで自動で行います。打刻の運用を変えずに、集計と給与ソフトへの受け渡しだけを自動化できます。集計方法ごとの費用と工数の違いはタイムカードの集計方法4種類を比較にまとめています。

よくある質問

結局どのメーカーを選べばよいですか?

メーカーで決めるより、集計したい値・人数・締め日・勤務形態の4点で絞るのが確実です。時給パートの実働集計なら日ごとの計算と累計が出る機種、正社員の残業管理なら残業方式を選べる機種、中抜けが多い職場なら4回以上打刻できる機種、というように条件から逆引きすると、候補は自然に2機種か3機種まで絞れます。

タイムカードは他社製や汎用品を使えますか?

機種によります。専用カード以外は使用できないと取扱説明書に明記されている機種(セイコーZ150など)や、標準カード以外は動作保証の対象外とする機種があります。カードの型式は締め日や集計機能とも連動しているため、取扱説明書で指定されたカードを使うことをおすすめします。

レコーダーを買い替えずに集計だけ自動化できますか?

できます。いまのレコーダーとカードはそのまま使い続け、記入済みのタイムカードをスマホで撮影してデータ化する方法があります。パシャ勤怠は撮影した画像から日ごとの時間を読み取り、月間の集計とCSV出力まで自動で行うため、打刻の運用を一切変えずに集計工程だけを自動化できます。

この記事のまとめ
  • 機種より先に「集計したい値・人数・締め日・勤務形態」の4点を決めると候補が絞れる
  • 多くの機種は実働計算と残業計算のどちらか一方を選ぶ設計。月間集計には人数上限がある
  • 締め日入りカードは型式が締め日で分かれる。月の途中の設定変更はデータ消去の機種があるため締め日直後に行う
  • 夜勤がある職場は日付変更時刻の設定が集計の正確さを左右する
  • 集計だけが目的なら、機種を替えずに撮影でデータ化する方法もある

機種選びで迷ったら、いまお使いのタイムカードの様式と締め日をご確認のうえ、お問い合わせいただければ、実際の様式を見ながら集計方法をご提案します。